歯肉炎・歯周炎・歯槽膿漏の違い

歯肉炎や歯周炎、歯槽膿漏、歯周病…似たような言葉ですが、どのような違いがあるかご存知ですか?
今回はそれぞれどのような状態なのか、特徴についてご紹介します。

歯周病

歯周病とは歯の周りの組織が歯垢(プラーク)に含まれる歯周病菌に感染することによって引き起こされる炎症性疾患です。歯茎に炎症が生じて赤く腫れたり、出血したり、時には痛みを生じることもあります。
進行すると歯周ポケットと呼ばれる歯と歯肉の境目が深くなり、歯を支える土台(歯槽骨)が溶けて歯が動くようになり、最後は抜歯をしなければいけなくなってしまいます。

<歯周病の進行>

  • 歯肉炎

    歯肉炎

    歯ぐきに軽い炎症が起きており、ブラッシング時などに出血することがあります。

  • 軽度歯周炎

    軽度歯周炎

    顎の骨が溶け始めており、歯ぐきに腫れが生じます。冷たいものがしみる・口臭が強くなるなどの症状があります。

  • 中等度歯周炎

    中等度歯周炎

    顎の骨が半分以上溶けており、歯ぐきの腫れ・出血・グラつきなどが見られます。

  • 歯肉炎

    重度歯周炎

    さらに顎の骨が溶けて歯のグラつきがひどくなり、歯根の露出や膿の排出などが見られます。

図のように歯周病は、大きく分けて「歯肉炎」と「歯周炎」の2つに分けられます。

歯肉炎

歯肉炎は炎症が歯茎にだけに限定されているもので、歯茎が赤く腫れたり、歯を磨くと出血したりすることがあります。正しいブラッシングをすることで、改善が見込めます。歯肉炎は歯周病の初期にあたります。

歯周炎

歯周炎は、歯肉炎がさらに進んだ状態で、炎症が歯茎だけではなく、歯根膜や歯槽骨とい った歯周組織にまで広がった状態です。軽度、中等度、重度と段階がわかれています。

歯槽膿漏

歯槽膿漏は、歯周病が進行したときの症状を表しています。歯周炎=歯槽膿漏と表記されることも多くあります。

このように歯肉炎や歯周炎、歯槽膿漏は、歯周病の段階を表しています。

歯周病は、さまざまな要因が関与して進行します。
歯周病は基本的には歯垢(プラーク)などの「細菌因子」により引き起こされ、そこへ患者様の年齢や性別、病気に対する抵抗力などの「宿主因子」、食生活やストレスなどの「環境因子」、歯の形態などの「局所性修飾因子」が関与することにより、疾患の進行を早めてしまいます。

歯周病の要因
 

歯周病にならないために…

日本人の約8割が歯周病と言われており、年齢に関係なく若くても歯周病になってしまいます。歯周病は、出血したり痛みが出たり、気が付いた時にはすでに進行していることが多いです。
歯周病を予防するためには、日常的な正しい歯磨きや、歯科医院での定期健診やクリーニングが効果的です。歯周病になってしまった場合でも、早期発見・早期治療することで歯を失う確率が下がります。
また、歯周病はお口だけの問題ではなく、体中に行き渡った結果、様々な疾患を引き起こします。
歯科医院は、お口のトラブルが起こってから行く場所ではなく、トラブルが起こらないようにするために行く場所へと変わってきています。
ご自身の健康のためにも、歯科健診を受けてみてはいかがでしょうか。

 
参考
システマ https://systema.lion.co.jp/shishubyo/about/
特定非営利活動法人日本臨床歯周病学会 https://www.jacp.net/perio/about/
厚生労働省 e-ヘルスネット

歯周炎 / 歯槽膿漏